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アロマ新ブランド設立物語 Part 1

~ 設立準備段階の舞台裏 ~


★ラベル作り ~家内制手工業?!

モノと容器が揃ったところで、商品ごとのラベルを作らねばなりません。最初は印刷屋さんに依頼しようかと考えたけど、無駄が多すぎるのですね。なにしろ商品扱い数が200種類以上あるわけで、それぞれの商品に必要な枚数は多くても50枚とか知れているわけですから。イチイチ印刷屋さんで版を起こしていたら、大変な金額になってしまいます。

そこで、自分のパソコンでデザインして、自分のプリンタで印刷するという、原始的な方法をとることにしました。ものすごく注文が来るようになったら(いつのことやら?)、印刷屋さんに廻すかもしれないけど、しばらくはコレで行くしかないでしょう。

ラベル印刷用にプリンターとラベル印刷用紙を検討し、購入しました(ちょっとした投資)。ラベル印刷用紙はいくつかの種類を試しましたが、やっぱり日本製は品質が全然いいですね~。安くはないですけど、ホンモノの印刷っぽく仕上りますし、水や油がついてもインクが落ちないのがウレシイ。

ラベルのデザインは、自分で、自分が持ってるソフトを使ってやりました。ロゴマークの「おやすみ猫」は相棒田村が昔からよく落書きしていたものですが、これも再度書き起こしてもらいました。意外なことに、この「おやすみ猫」マークが好評を得ているようで、制作者も大変喜んでいます(^^;)。

さて、手がけてみて、ラベル作りの作業の膨大さに、ふと気付くわけです。考えてもみてください、200種類以上の商品ラベルをいちいちデザインして、必要事項を入力していくわけです。商品名にはじまって、ややこしいラテン語の植物名やら、含まれる材料やら、さらにはロットナンバー、使用期限まで、いちいちマニュアルで入力していたのでは気が狂います。「こりゃ、ブチ切れるのも時間の問題だ~」と悟り、夫に相談しました。

こういう時、理系の夫を持っていると便利です(^^;)。私のニーズを聞くや、なんとデータベース・アプリケーションを開発してくれました。データベース上に各商品ごとの情報を入力しておくと、自動的にラベル・デザイン枠に選択した商品の必要事項が入力されるというシステム。これは便利! 私が使っているのが日本語アプリケーションだったんで、だいぶ梃子摺ったみたいですけど、「Fuck!」を連発させながら、1週間くらいで完成させてくれました。




ラベル印刷用紙はカットしていないタイプなので、自分でカットしなければなりません。A4シート1枚から10~30枚ほどのラベルが出来上がるので、これをサイズに応じてカッティングしていくわけです。最初は夫が「会社に大きなカッティングマシーンがあるから、それ使えば簡単だよ」と言うので甘くみていたのですが、これが全然使えないことが判明。ラベル印刷用紙はプラスティックのような素材で出来ているので表面がツルツルしていて、機械では固定できず、すべってしまって思うように切れない、ということなんです。ガーン、ショック。

さて、どうやってこのプラスティックのつるつる紙をカッティングしていったらよいのでしょうか? こういう難題が待ち受けていると、「なんとか解決してやる」と勝手に盛り上がるのが、理系エンジニアの習性です(^^;)。ハードウェアの店に通い、いろいろなガラクタを買い集めてきては、ヘンテコな装置を作ってみたりと、いろいろ試していました。

最終的にはセメントを塗る時に使う、取っ手の付いた平たい金属版に、ゴムを貼り付けたもので印刷用紙を固定し、まな板の上で、カッターナイフで切る、という、なんとも原始的な方法が一番効率よく正確に切れることが分かりました! しかし、この何百枚というシートを一枚一枚、カッターナイフで切るってのも、とんでもない作業です。夫は土日はもちろん、平日帰宅してからも、約1週間かけて、黙々とシートを切り続けました・・・。産業革命前の家内制手工場の時代に舞い戻ったような1週間でした。

現在、夫の友人(デンマーク在住)がこのシート用の特製カッターマシーンを開発したる!と張り切ってくれています。この人もエンジニアの習性を持ち合わせた便利な人だったりします(^^;)。





★梱包問題を解決する ~梱包テーブルの制作

今度は梱包問題の検討。

いつも私自身が手で梱包しています。キャリアオイル瓶はプラスティック製のぷちぷちバブルが付いたシート(あれの正式名称は何というのだろう?)を巻き付け、漏れるかもしれないウォーター類はビニール袋に入れ、精油類は紙に包むという具合に、イチイチものによって対応しています。今までの経験上、破損事故になりにくい梱包方法を編み出してきているのですが、これが手間と時間がかかる。

この梱包作業を見ていた夫は「もうちょっと何とかならんのか?」と考えたらしく、シュリンク包装を提案してきました。ビニール製のシートでモノを包んで、熱を加えるとシュルルルとビニールが縮んで、中身を動かないように固定させる包装方法です。

シュリンク包装に必要なものは、ビニールシート(シュリンクする特別なもの)、シートをくっ付けるための電気ヒーター式のシーラー、そしてシュリンクさせるための熱風ドライヤー。これらは一体どこで、どのようにして、いくらぐらいで入手できるのだろうか? 皆目検討もつきません。そもそも、このシュリンク包装によって、梱包作業が幾分かは楽になって、破損事故を防げるのか?というと、これまた不透明です。

そこで、シュリンク包装をしているボトルメーカーに問い合わせ、シュリンク屋さんを教えてくれと頼みました。さっそく紹介されたシュリンク屋さんに電話すると「ウチじゃビジネス規模が大きすぎるから、相手にならない」といわれ、その代りにもう少し小さい規模でシュリンク用品を扱っているオジサンを紹介してくれました。

電話で話すと「あんたのニーズにかなうかどうかは分からないけど、一度やってみるかい?」ってことで、オジサンの工場に出向きました。シドニー郊外にある小さな工業地帯の一角にある建物の、そのまた一角を間借りしたような小さなオフィス兼工場。オジサンが出てくるまで、オジサンの相棒という別のオジサンが相手してくれました。。

「僕はキウイ(ニュージーランド人)なんだよ。ニュージーランドも政府のバカげた農家保護政策のおかげで景気悪くてね~、だから同業者は皆オーストラリアに出てきちゃったよ。最近シドニーにはオーストラリア人はいなくなったねえ、ウチも他の国から来た人ばっかだよ。オージーなんて、もう絶滅しかけた原住民だからねえ」などと、過激な雑談をしていました。

さて、当のオジサンが登場したところで、私が持参したオイルの瓶類を並べて見せました。さっそく合いそうなサイズ、厚みのシートを1巻持ってきて、シュリンク実験。おお、なかなかプロっぽい仕上がりではないか。時間的にもほんの一瞬で出来てしまう。中身は全然動かないので、瓶同志がぶつかりあうことによる衝撃は完璧に避けられるぞ。ちょっと懸念していた熱のオイルへの影響だが、ドライヤーみたいなもので一瞬風を吹き掛けるだけなので、これならオイルの品質が劣化することはなかろう。

というわけで、シュリンク包装用具一式、買い付けてきました。そして、翌日には中古家具屋にいって手頃なサイズのテーブルを買ってきて、夫がまた一日かけて改造を施し、梱包用テーブルを作り上げてくれました。シュリンク包装はシュルルルっと収縮する瞬間が楽しいので、思わず遊んでしまいます(^^;)。一旦梱包されると、全然動かないので、瓶同志がぶつかり合って破損することはまったくなくなるでしょう。が、実際に使うのは複数のキャリアオイル瓶やウォーター類を同時発送する時くらいになるかも。精油については、別途考えています。




今までに起こっている破損事故はほとんどがキャリアオイルです。といっても、ガラス瓶自体が割れたというケースは最近はメッキリ減りました。これはビニールのぷちぷち包装をしっかりすること、複数のキャリアオイル瓶がある場合には動かないように固定すること(シュリンク包装のメリット)で、ほぼ完全防御できるとみています。

しかし、「漏れ」という問題が残っています。キャップはしっかり締めているはずなのですが、郵送中に多少漏れる。これはどうも、飛行機内の気圧変化と温度変化によってもたらされる現象のようです。気圧と温度が下がる事によって、中身のオイル体積が膨張するのですね。その膨張に押されて蓋が次第にゆるみ、多少のオイルが漏れる、と考えられます。

これを防止するために私が出来ることといえば、「オイルを多めに入れすぎないこと」です。おそらく5~10%程度は膨張するものと考えられるので、瓶内にスペースを残しておくこと。「お客さんから容量が”少なすぎる”とクレームが出ないように、表示量以上に瓶に目一杯いれる」という考え方もあるのですが、そういうサービスをやると、かえってアダになるようです。




精油の梱包方法については、これまた検討中で結論は出ていません。もっとも精油の場合は瓶が小さいせいか、破損事故は今まで一度も起きていません。が、「漏れ」という自体はマレにですが、発生するようです。原因は輸送中の振動ではないかとみています。今までの経験では、どうも新聞紙とかわら半紙のような紙類の方が、ビニールのプチプチやシュリンク包装等よりも振動による衝撃を吸収してくれるらしいことは分かっているのですが。

本来は箱などに1本1本収納した方がいいのでしょうが、その分のコストを売値に上乗せしたくはないですし。これまた夫の知り合いが容器を作ってくれるという話もあるのですが、どんな容器にしたらより品質を保持できて、より破損(漏れ)しにくくなるのか、もっと研究を重ねないといけません。





★在庫管理 ~欠品ゼロを目指そう!!


さて、商品たちが揃ってきたところで、どこに保存するか?という問題があります。引っ越したばかりの家には幸いなことに、奥に「昔ガレージだったと思われるワークショップのような倉庫」があります。ここを改造、整理すれば、立派な「アロマ倉庫」に変身するのでは?と考えました。

まずは不要なものを処分し(これが大変、この地域では市役所が粗大ゴミを取りに来てくれない)、スペースを作る。掃除をする。買ってきた棚、冷蔵庫を設置する。古い棚を改造する。作業テーブルを設置する。・・・これらはほとんどが夫の仕事でありました。私は「ここに、この高さで棚を設置して」と、エラそーに指示するだけ。出来上がってみると、うーん、なかなか立派な倉庫です。

さてさて、在庫管理システムを考えなければなりません。200種類もある商品の棚卸しをするのは大変なので、できれば注文データとリンクさせて、「何個売れたから、今何個残っている」という具合に在庫を管理したいもの。そこでまた、夫の登場。見積り、受注、顧客管理、在庫管理を一環したシステムで出来るようなデータベースを作成してもらっています。ああ、本当になんて便利な夫を持ったのでしょう、ワタシは・・・。




ところで、今まで私の通販をご利用になった方はお気づきかと思いますが、「欠品なのでしばらくお待ちください」となる確率がわりと高いんですね。今までは私自身は在庫を抱えずに、注文がある度に卸に仕入れに行っていました。ですから、卸の方で欠品しているとなると、私にはどうにもできない。それも「いつ入荷されるか」が非常に曖昧だったりします。「明日入る、明日入る」と毎日いわれ続けて、2週間入らないなんてこともザラにあります。

私はこの欠品現象が不思議で仕方ありませんでした。なぜこんなに頻繁に欠品が起こるのか?と。だって、自分が在庫を抱えているなら、完全に欠品する前に(たとえば、あと残り3本になったらとか)前もって発注しておけばいいじゃないの!と思うわけです。自分の在庫が0になることを完全に避けることだって可能なはずだと。

今回の新ブランド立ち上げに際して、卸のAさんに倉庫と在庫管理について思い切って聞いてみました。すると、「月はじめに大きなオーダーをするようにしている、あとは在庫が無くなったらその都度注文する」とのこと。要するに「欠品を絶対に避ける」という発想はないわけです。

なんでなんで?と疑問だったのですが、最近ようやく分かってきました。これは、この卸が特別レイジーだとか、イケナイとかいう問題ではなく、オーストラリア社会全体に蔓延する「ノーウォーリーズ文化」の一環なのだと。

そういや、どこで何をオーダーしても「欠品」はツキモノです。これはアロマ関連商品に限ったことではない。大手スーパーでも、1週間以上も商品棚が欠品でまっさらに空いている状態をよく見かけますし。
最初は「精油は生鮮品だから」と勝手に納得していましたが(製造者側が生産をやめたりするケースもあるから、そしたらサプライヤーをイチから探さなければならないし)、そういうケースも確かにあるものの、日常よくある欠品はそういう理由ではなく、単純に在庫管理が甘いからなのです。つまり、在庫管理をちゃんとしようという意欲がない、さらに言えば、在庫管理を完璧にするだけコストと労働力をかける意味がないのでしょう。

夫の会社でも在庫管理がとってもいい加減なんだそうです。発注が来て在庫を確認するまで欠品していることに気付かない、欠品していると欠品している商品のみを発注する(まとめて欠品しそうなものまで発注すりゃいいものを)。で、この事態を特に問題視していないんだそうで。

考えてみると、一社だけで頑張って欠品ゼロ運動をやっても無駄なんでしょう。すべての会社がこの調子なんだから、いくら1社が頑張ったところで、その卸が在庫管理をきちんとしていなければ、いくらサバを読みつつ発注しても、欠品ゼロを完全に防ぐことは出来ないわけですし。それに、「いつも在庫が揃っている」ことは競争上アドバンテージにもならないのでしょうね。もっとハッキリ言えば、オーストラリア社会には「競争」というものがほとんど存在しないから、こんな横並びのいい加減なビジネス姿勢で通る、とも言えると思います。まあ、これからはアメリカ資本が入って来たりして、オーストラリアも世界競争に呑み込まれていくのでしょうが、イージーゴーイングなオージーがどこまで対応してくれるでしょうか??

私としては今後在庫を抱えてやっていく以上、当然欠品ゼロを目指したいと思っています。欠品ごときで商品の到着を楽しみに待っておられるお客さんをお待たせするのは、とってもとっても心苦しいです。ところが、こりゃあ、かなり難儀なことになりそうだなあと思わざるをえません。今回も「サバ読み発注」をしているのですが、このサバが私が読んだ程度のサバでは収まってくれないのですよ(^^;)。完璧サバ読みをしようとすれば、今の倍くらいの倉庫と予算が必要になるでしょう・・・。

というわけで、私としては努力はいたします。が、そうそう日本人感覚では通らない社会にいるという事で、ちょっと多めに見てやってくださいね(^^;)。


つづく・・・


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