出産まで、カウントダウン
いよいよ臨月にさしかかった福島です。といっても、本来の予定日は7月末なのですが、双子ということで、ふつうは3週間ほど早く出てくると言われているものですから、6月下旬かなあ、と。そこから逆算すると「臨月」にあたるのですね。
現在33週めですけど、もうお腹のサイズは分娩室に向おうとする妊婦さんよりデカイです。子供だけで、@2キロ×2人で4キロ分+羊水・胎盤その他もろもろ、合計7キロほどをお腹に抱えていることになりますもんね。毎朝、鏡を見るたびに「うお~、デッカ~イ」と叫びたくなるほどに、日々膨らんでいます。我ながら、この体格でよくぞこれだけ大きな荷物を支えきれるものだと感動しちゃいますね。同時に、「これ以上大きくなったら、わたしのお腹はどうなるんじゃ?」と大きく疑問なのですが、毎日そう思いつつもまだ膨張しているので、まだ大きくなれるんでしょうね。
でも、不思議なことに、日頃生活していると、そぉんなに気にならないのですね。時々、自分のお腹のサイズを計算ミスして、ドア等との距離が狭すぎてお腹がひっかかったりすることはありますし、確かに重たいし動きにくくはなっていますけど、まだまだ日常生活には支障を来しておりません。靴下や靴の着脱が面倒になってきましたけど、もともと身体が柔らかいせいでしょうか、なんでも自分で出来ます。スローモードではありますが、家事も事務作業もどうにかなります。相変わらず、アロマの発送も自分で梱包して、郵便局まで運んでいますし(重たいものは夫に頼みますけど)。
双子出産経験者から「最後の1ヶ月はベッドに寝たきりになる」だの「腰痛がすごい」だのと脅かされたりもしたんですけど、そんなこともなさそうです。腰痛もないし、夜はよく眠れるし、ゴハンはちゃんと食べられるし。
そうなんです、「一体、胃はどこに居るんじゃ~?」というくらいお腹パンパンなのに、まだ普通に食べられるというのがスゴイんですよね。「妊娠後期は1日4~5回に分けないと食べられない」なんて聞いていたけど、私、今でも毎食、夫以上に食べてます。
そんなこんなで、大変元気なものですから、「とても妊婦とは思えない、信じられない」と夫からは、賛嘆とも驚愕ともつかぬコメントを貰っています(^^;)。
振り返ってみると、ホントありがたいことに、大したトラブルもなく、楽しいニンピー生活を送ってきたなあって思います。トラブルといえば、前に書いたように妊娠初期に流産への危機感があったことくらいで、その後はハッピー&ラッキーでして、こんなに健康でお気楽に過している妊婦さんも珍しいんじゃないか?と思ったりします。
よくある妊娠期のマイナートラブル(便秘とか痔とか瀕尿とか静脈瘤とか)もなく、というより、多少は問題あったのですが、アロマとクレイで解消してきました。皆さんがよく言うように、「くしゃみや咳をすると、おしっこが漏れる」とか「夜ちっとも眠れない」とか、そーゆーことは全然なかったです。
ただ一つ、困っているのは、手が腱鞘炎になってしまったこと。これは妊婦だからじゃなくて、アロマのブランド設立の際、ボトル移し替え作業をやりすぎたのが原因で、いまだに手首を固定していたりします(でも、キーボードは打てます)。手が使えないというのはかなり不自由ですが、これは職業病みたいなもんだから、しょうがないですね。もっとも妊娠期は筋肉が弛緩しているから、余計治りにくいってことはあるようですが。
気になっていた体重増加も、特に食事制限したわけでもないのに、自然と6ヶ月めくらいから落ち着いてきました。一時は1ヶ月に5キロも増えて、どーなることかと心配しましたが、あれは双子を支える基盤を作るために必要なことだったんかも、と今振り替えると思えます。当時はお医者さんのノーテンキな反応に閉口しましたけど、さすがプロだけあって、こんな結果を見越していたのでしょうか。体重云々などあまり気にせず、栄養バランスのとれた食事をして、適度に運動していたら、それが一番自然なんでしょうね。出てくる結果(毎月の増加体重)じゃなくて、全体として健康に推移しているかどうかが大事なんでしょう。
総計で13キロくらい増えたことになるのかな? でも、お腹以外はどこも太った形跡はないし、妊娠線もまったく出ていません(妊娠線は産んだあとに出てくるかもしれないから、まだ安心できませんけど)。おまけに血液検査では、糖も鉄分の値もパーフェクトだし、血圧も最初からずっと60/110でほぼ同じ値をキープしています。
そんなわけで、毎日適度に運動して、おいしくゴハンを食べて、日々ハッピーな気分で過していたら、双子だってちゃんと楽しいニンピー生活が出来るんだなって実感しています。
双子を孕んだおかあさん、是非気持ちを楽にしてくださいね。みんなが脅かすほど大変なこっちゃないです(しかし、なんでもこうも双子にまつわる悲惨な話ばかりが耳に入ってくるんだろう? --これについては、また後ほど)。
ちょっと一服・・・
妊娠中の健康管理については、昔から語り継がれてきたものから、現代科学的視点からの提案まで、いろいろありますね。「おばあちゃんの知恵」と評価すべきか、「単なるくだらない迷信」と判断すべきか、非常に難しいところがあったり、最近のリサーチ結果についても、著者であるお医者さんの価値観が混じっているように感じられて、「本当に信頼してよいのだろうか?」と疑問に思うこともあったりします。日本の常識とオーストラリアの常識が、時にまるっぽ違っていたりするのも、判断をさらに難しくさせてくれます。
で、この半年ほどいろいろ試してみて、どうも「やってよかったみたいだ」と実感していることを少し紹介してみたいと思います。
腹帯(さらし)
妊娠4ヶ月時に日本に帰国した折、母に「これ巻かないから、あんたのお腹はそんなに大きいのよ」と言われて、「ま~たまた、古いんだから~」とバカにしていましたが、整骨院の先生に「科学的に立証されてます」と太鼓判押されて、すっかりその気になりました(^^;)。迷信扱いするお医者さんもいますし、最近流行の妊婦用コルセットで代用できるという説もありますが、コルセットでは弾力性がありすぎてサラシのように胎児を固定させにくいんだそうです。
5メートルのサラシを半分に折った状態で巻いていきます。巻き方は、おへその下からはじめ、下腹部の重みを腰の上で支えるのがコツ。まだお腹が小さいうちは、下腹部でサラシを折り返すと、ズリ落ちにくくなります。
胎児固定、流産・早産の予防、腰痛予防、おまけに妊娠線予防にもなるかも・・・ということで、夏は汗を吸い取り、冬はお腹の冷えを予防してくれます。ちなみに、出産後も1ヶ月くらいサラシ巻いておくと子宮の位置と体型が元に戻りやすいらしいです。その後は、小さく切ってオシメに再利用するんだとか。昔の人もいろいろ考えたもんだ。
ヨガ・ストレッチ
オーストラリアに来てはじめたヨガですが、妊娠前から日課となっていました。ところが、お腹がデカくなるにつれて、苦しくて無理なポーズがどんどん増えてしまいました。とにかく無理せず、お腹に不自然に力がかかると思われるポーズはやめて、同じ目的ができそうな他のポーズで代用するようにしました。
特に効果的だったのは、「猫のび」のポーズ。四つんばいになって、腰から背中を外と内側に順番にストレッチするやつ。あれは、どんなにお腹が大きくなってもできるし、気持ちがイイ(さすがに最近は四つんばいでストレッチするとお腹の先が床に触れるようになったけど)。慣れると、立ち姿勢でも、座り姿勢でも同じストレッチが出来るようになります。それと、仰向けに寝て曲げた足を左右に倒して腰をツイストさせるポーズも最後まで継続できました。腰痛が起こらなかったのもヨガのせいじゃないかな?って思います。
瞑想・リラックス
「瞑想やってます」と言えるほど、マジメに取り組んでいるわけではないし、妊娠や出産に役立てるためにはじめたわけでもないのですが。たまたま、いろんな瞑想方法を調べているうちに、「私って昔から瞑想みたいなことを自然にやっていたんだ」ってことに気付きました。時に何も考えずリラックスしてポケーっとしてしまうことがあるのですが、そういう時にメッセージというか、インスピレーションみたいなものをキャッチすることがあるんですね。お風呂入っている時とか、ベッドでゴロゴロしている時とか。
で、そういうリラックスの時間こそ、お腹にいる子供たちとコミュニケートするのにうってつけなんじゃないかってことに気付きました。二人の名前をキャッチしたのも、こんな時間でしたし、この子たちの魂がなんらかのミッションを目指して生まれて来ようとしているかのようなメッセージも入ってきたりしました。
さらに、これが分娩時にも役立つんじゃないかと読んで、アロマセラピーとコンバインさせ、最近では分娩中に使う予定の精油の香りを部屋に流しながら、子供たちとの共同作業としての出産・分娩をイメージするようにしているんですが。さて、本番はどうなることやら。
鉄分補給
妊娠初期、お医者さんに「鉄分の値がやや低めだから、双子なんだし、毎日飲んでおきなさい」と勧められて飲みだしたのが、FEFOLというシロモノです。鉄分(Fe)と葉酸(Folic acid)が入っているので、こういう商品名で販売されているんでしょう。後期の血液検査では、妊娠中に鉄分の値があがっていたのですが、FEFOLだけでは双子分の鉄分を供給することはふつうないそうで、お医者さんは目を丸くしていました。
FEFOL以外にプルーンジュース(まずいんだけど便秘にも効くし)を毎日飲んでいたのと、クレイ(鉄分を含むあらゆるミネラルが入っている)を内服していたおかげではないかと思われます。日本の妊婦さん情報によると、日本の鉄分補給剤は吐き気がする上に、うんちがネバっこくなるんだという話ですが、私は特にそういう問題はありませんでした。かえって便秘予防にもなったのかなって気もするんですが、単に気のせいでしょうか?
クレイ&アロマ
起こりがちな妊娠中のマイナートラブルはほとんどアロマとクレイで退治してきました。詳しくは、「アロマセラピー実験記録 妊娠・出産編」で紹介しています。特に、妊娠線予防オイルはオススメ(今のところ妊娠線も出ていないし、身体のカユミにも効果的だったし、おっぱいマッサージにも使えた)。
あと、クレイ内服は妊娠前の体内浄化だけでなく、妊娠してからのカルシウムや鉄分など、必要なミネラル分補給にうってつけで、胎児もよく育つんだそうです(双子なのにそれぞれが一人の子供並に育ってます)。おかげで風邪ひとつ引かなかったし。
妊娠初期の足のむくみと瀕尿には、アロマではあまり効果が見られなかったのですが、鍼灸師の友人に教えてもらったツボに、マグネットを貼り付けるという方法でかなり改善しました。
ハーブティー
エッセンシャルオイルの中には刺激が強すぎて妊娠中は使いにくいものが多いので、ハーブティーで代用したりしました。消化不良の時にはペパーミント&カモミールティー、便秘にはフェンネルティーなど。
臨月になってからは、子宮周りの筋肉を和らげるラズベリーリーフティーを飲んでます(オーストラリアでは妊婦の間では「お産が楽になる」と有名みたい)。効果のほどはまだ分かりませんけど。
歩くこと
まだ身体が軽かった頃は、よく夫と一緒に夕方から散歩に出かけ、1日4~5キロ歩いていました。サマータイムが終わった頃から、日が落ちるのも早くなって寒くなって、身体も重たくなってきたので、そんなに沢山は歩けなくなったけど。でも、アロマ通販の発送があるので、ほぼ毎日郵便局まで歩いてました(重い荷物は夫に発送を依頼し、自分で持てるものだけは自分で持っていくようにした)。
ウォーキングは継続して2キロ以上歩かないと、あまり意味がないそうです。体内のカロリーを消費しだすのが2キロ以上、20分以上歩いた時からなんだそうで。理想的には、毎日、継続して4キロ以上歩くといいそうです。
寝ること
妊娠中はやっぱり疲れやすくなるみたいなんで、「疲れたかな」と思ったら無理せず、すぐに横になるようにしていました。まあ、お気楽に昼寝なんかが出来るのは、会社勤めもしていないし、お姑さんのように気を使う存在もいないという、恵まれた環境にあればこそ、ですが。
夫が家にいる時は、横になる時に夫に付き合ってもらって、ベッドでゴロゴロしながら他愛もない会話をよくしていました。なぜか、昔のことを思い出すことがよくあって、昔の彼氏の話とか、学校時代の友人のこととか、子供時代のこととか、親が話してくれた親の子供時代のことか、そんなことを話してました。これから産まれてくる子供たちの人生と、無意識のうちにオーバーラップさせて考えていたのかもしれません。
また、ホルモンの関係でしょうが、感情がとても鋭敏になっているようで、過去の整理しきれていなかった悲しい気持ち等をリアルに思い起こしては泣き出したりすることもありました。が、これが精神的な「お掃除」になったようにも思います。
話の内容はどうあれ、夫とゴロゴロの時間は、とても貴重だったなあって思います。
外食
特に後期になってから、腱鞘炎で手が使えなくなってしまったせいもあって、料理するのが大変だったものですから、よく外食に出かけました。初期の頃は「外食なんかしてると栄養バランスが悪くなるし、カロリー取りすぎるし、何が入っているか分からないから、健康によくないんじゃないか」って敬遠気味だったんですが。いざ、出かけてみると、けっこう気分的にリフレッシュになってよかったなと思います。
外食する時は思い切りおしゃれして(って言ってもデカイお腹をカバーできるドレスなんか、ほとんどないんですけどね)、普段はしないお化粧もして、出かけるわけです(^^;)。お店の人たちも別段イヤな顔もせず、デカイお腹にいろいろ気を使ってくれたり、フレンドリーに話し掛けてくれたりして。
産まれてきてからしばらくの間は、外食どころではないでしょうから、今のうちにあちこち行っておこうと思ってます。7月からGST(消費税)も導入されちゃうことだしね。
妊娠日記
健康管理とは直接関係ないけど、妊娠してから毎日なにがしか記録を付けることにしました。特に、アロマのブランド設立という私にとっては一大事業を立ち上げるタイミングとダブっていたので、そっちの方の記録が欲しかったってのもあるんですが。結果的には、何週めからつわりが始まって終わって、胎児が動くのが確認されたのがいつで、むくみが出てから治るまでにどれくらいかかって、どんな食事をしたら便秘が解消して・・・といったことが分かって、健康管理の上でも利用できました。
育児経験者から聞く話では、「子供たちは自分たちの出生話が大好き」なんだそうで、言葉が分かるようになったら、日記を持ち出してきて話して聴かせるのもいいかも・・・とか思ってます。ついでに、分娩室にも日記を持込んで、陣痛の合間に実況中継で記録しておこうとか考えています(^^;)。
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こんなふうに妊娠している間がとても楽しかったので、また妊娠してもいいなあ、なんて思っていたりします(産まれてきたら「もう結構」と思うかもしれないけど)。お腹の中に自分でコントロール出来ない生命体が存在するというのが、ものすごく面白いというか、なんともいえない不思議で、それでいてハッピーな感覚があります。特に、子供たちが動くようになってからは余計顕著ですね。
といっても、アロマの新ブランド設立騒ぎで、胎児が動き出すようになってしばらくは忙しくてお腹の動きなんかに注意を払っている余裕はなかったんですが、それでも「どうも私がハッピーな時に動くみたいだ」という法則性を発見しました。おいしいものを食べている時、クレイバスにゆっくり浸かっている時、好きな音楽を聴いている時。あと、誰も指摘しないけど、セックスの後ってよく動きますね(^^;)。単純に振動刺激のせいなのか、こっちがハッピーなのが分かるのか?
それと、私が楽器を演奏している時もよく動きます。例の腱鞘炎のおかげでピアノは弾けなくなってしまったんで、フルートを吹いているんですけど、この子たちは特にフルートの音によく反応するみたい。フルートのCDを聴いている時も、ボコボコ動きます。
動き方も、よく「キック」というけど、そればっかじゃなくて、寝返りでも打ちたいかのように頭をゴソゴソ動かしてみたり、手でボクシングしたり、あくびでもするかのように身体全体をストレッチさせてみたり、いろいろです。
もっとも子供の性格によっても動き方が異なるそうで、何人かを出産すると、お腹での動き方によって産まれてくる子の性格がある程度読めるとも言いますね。一般的には活発に動く子ほど、活発になる傾向はあるそうです。まあ、1度めだから、活発めなのかどうかは判断つけようがありませんが、一卵性双生児のクセして2人の動き方が違うのは面白いですよ。
そうそう、2人がいっぺんに入っているというのが、これまた面白い観察材料になりますね。4ヶ月めで既に二人の名前もインスピレーションみたいに入ってきたわけですけど、どっちの子がどっちにいるのかも分かっていました(ちなみに先日の超音波検診で、やっぱり女の子であることが確認されました。ラースの予知夢&私の直観あたり!)。
子供たちは時に居場所を変えるんですけど、動き方で今どのあたりに居るか、だいたい推測がつくんですよね。もちろん、それだけでは確証がないので、超音波検診の結果と照らし合わせて、「ああ、やっぱり」とか思うわけですけど。
最初は左右に縦になって頭上向きで入っていたのが、中期は横二段式、後期に入って、下にいた子が頭を下に向けてからはTの字型になりました。上に寝ている子も頭を下にしたいらしく(じゃないと、もう成長するスペースがないのだろう)、次第に斜めに移動していくのですが、下の子の足(お尻?)とぶつかってしまうらしく、右上腹部がパンパンな感じが続きました。
よく逆子を自力で直すのは無理とかいいますが(お医者さんで出来る人もいるらしいし、逆子体操の効果をとなえる人もいますけど)、子供が行きたい方向に重力を貸してやれるような姿勢をとり、「ほら、もう少しだ、がんばれ」と応援していたら、なんか、うまくいったみたいです(これが影響したのかどうかは怪しいですけどね)。
以前から「子供がお腹の中で動く」ことによって、妊婦さんは不快な思いをしないのか?と疑問だったのですが、これが意外と不快なことはないんですね。最初は動きが弱くて、次第に強くなるから、その間に慣れていくってのもあるんでしょうけど。ただ、急にボコっと蹴りが入ったりすると、ちょっと一瞬びっくりすることはあったかな。でも、少なくとも、子供が動くから眠れないとか、痛いとか、苛付くとか、「このヤロー、おとなしくしやがれ!」ってことはなかったです。外に出てきてからは、あるんでしょうけどねぇ(^^;)。
日本じゃ胎教じゃなんじゃと騒がれているらしいですが、私は幸か不幸か、そういうことと一切無縁で過してきました。クラッシック音楽を聴かせるだとか、英語のテープを聴かせるだとか、英語の文字をお腹の上から見せるだとか、すごい発想があるそうで、驚きました。しかしまあ、親が好きでもないのにモーツアルトやら英語やら聴かせたって、親が緊張していたら意味ないんじゃないかなあ。やっぱり親がハッピーな気持ちで、子供との対面を楽しみにしていることを伝えていることが、一番の胎教なんじゃないかって思いますけど。
そういや、子供たちにはよく話し掛けてました。動いていたりすると、話し掛けたくなるんですよね。なんか知らんが、彼女たちに話し掛ける時は自然と英語になってしまうんですが、「Are you fine?」「You're gonna be happy.」「You lucky girls,your Dad is really nice!」とかね。あと、天気がいい日や、景色がキレイな時とか、「ほら、キレイだよ~、もうすぐ一緒に見ようね」とか思わず喋りかけたくなるという。で、道歩きながらも、一人でボソボソ言ってたりして、ハタから見たらアブナイ人みたいでしょうけど。
時々、メールなどを通じて日本の妊婦さんの話を聞くのですが、その度になんだか気の毒になってしまいました。納得のいく「いいお産」をしたハッピーなおかあさんもいる反面、病院の体制や考え方の犠牲になって、ストレスフルな妊娠生活や、トラウマティックなお産を経験された方も多いようで。
最近は病院・お医者さん主導の「産ませていただく」お産から、自主的に産むことを奨励するお医者さんや病院も増えてきたそうですが、なんといっても「ダイエットで体重抑えて、小さく産む」ことがブームになっているそうで。それで、カロリー表まで渡されて、妊娠中は厳しいダイエットに耐えるとか、検診のたびに体重増えすぎで看護婦さんに怒られるんじゃないかとビビっていたりとか。そんなんじゃ、かえって妊婦さんの精神衛生上よろしくないのではないか?と気の毒になってきます。
たしかに太りすぎると糖尿病を併発したり、妊娠中毒症にかかりやすかったり、産道に脂肪分がついて微弱陣痛やら難産になりやすいなどといった弊害があることは事実なのでしょうが、一人一人にとってベストなプロセスってのがあるんだろうし、それを一括りに「1ヶ月1キロ」みたいなマニュアル的な処理をするのは、ある意味、「産ませてやる側にとって都合のよい管理方法」に過ぎないんじゃなかろーか?という疑問が頭をかすめます。
また、双子だというだけで、予定日の2ヶ月前から「管理入院」なんてのもあるそうで、これまた驚きました。たしかに日本のお医者さんが書いた出産本など読むと、「双子だと診断されたら、○○に注意しましょう、あれもやめましょう、これもやっちゃいけません」みたいな、まるで双子だと異常あるいは病気でもあるかのような記載が目立つんですよね。そこから推察するに、管理入院という発想も分からないことはないのですが。
まったくの素人発想に過ぎませんけど、多少のトラブルがあっても自宅で家族と一緒に、ふつうに生活している方がどれほど健康でいられることか?って思ってしまいます。管理入院なんか強制された日にゃ、入院費もバカにならないでしょうが、それよりストレスと、自信喪失という精神的なダメージの方が大きく影響しちゃうんじゃないでしょうか?
そうはいってもオーストラリアでも病院によってかなり違いがあるみたいだし、日本にもいろいろな病院(助産所といった選択肢も)があるようだから、一概に「オーストラリアは」「日本は」という具合に一括りにしてコメントするわけにはいかないんですが。オーストラリアでも、特にパブリック病院の場合、人手&設備不足のために「産ませてやる側にとって都合のよい方法」が仕方なく選択されてしまうという現場の実状はあるようです。私だって、まだ出産は体験していないので、いいと思って選んだ病院が、現場でどんな対応をしてくれるのか、分かったもんじゃないですしね。
ともあれ、妊娠中、ストレスもトラブルなく、楽しく過してきたし、自分に備わった体力・精神力に対する自信もついたし、「これで納得のいくお産が出来るんじゃないかな」と満足し、お産を楽しみにしています。
ちょっと一服・・・
お腹が膨らんでくると、街歩いているだけで皆さんに声かけられます。いかにもお腹が重たそうに見えるのでしょうか、皆さん、「Are you OK?」「Are you well?」などと気を使ってくれます。そして、八百屋のおっちゃんからデリバリーのにーちゃんまで、妊娠ネタを振ってきます。そんなわけで、最初は何を言ってるんだかよう分からなかった「妊婦さんのお決まりのフレーズ」もすっかり覚えてしまいました。ここらで脱線して、ちょっと紹介してみますね。
「妊娠している」という形容詞は、Pregnantですが、「Are you pregnant?(妊娠してるの?)」みたいなことは、まず言われませんね。一目瞭然なんでしょう(^^;)。
誰かに出会って開口一番聞かれるのは、「How long to go?」です。文法的に考えるとヘンテコリンな疑問文なのですが、要するに「あと、どれくらい?」「あと何ヶ月したら子供が出てくるのか?」という意味ですね。この質問、ちょっとメンドイんですよね、「えっと、今は何週めだから、あと何週だから・・・」と計算しないと答えが出ないから。
代りに、「When is your due?」と聞いてくれると、もっと答えやすくてありがたいんですけど。「Due」ってのは「予定日」のことだから、「The end of June」なんて具合に答えられるわけで、どのタイミングでも九官鳥のように繰り返せるから楽です。
出産経験のある女性だと、「Where are you giving a birth?」なんて質問が来たりします。「give a birth」ってのが「出産する」という意味でして、「どこ(どの病院)で産むの?」という意味になります。で、病院の名前を告げると、「ああ、あそこは友達が産んだけど、よかったって言ってたよ。私もお見舞い行ったけど、ホテルみたいなキレイな部屋でね。でも、その隣の○○病院はちょっとねぇ」とか、そういう話になだれ込んでいくわけです。
「I've got twins.(双子なんですよ)」と言うと、次に聞かれるのが、「Do you know if identical?」という質問でして、一卵性か二卵性か?と。一卵性双生児のことを「Identical twins」といい、二卵性を「Nonidentical twins」というらしいです。さらに「How do you know they are identical?」なんて質問もありました。そりゃ超音波検査したからに決まっているわけですけど、そう言っても相手は納得しないので、「Because they are sharing the same placenta(同じ胎盤を共有しているから)」などと説明しなければなりません。興味のある人は、さらに突っ込んでいろいろ聞いてくるんですけど、ここらになると医学用語が登場したりして、お手上げになります(^^;)。
あと、非常に頻繁に聞かれるのが「Do you know what it is?」です。これ、最初聞かれた時、一体相手は何を知りたいのかがサッパリ検討つかず、ポカ顔をしてしまいました。そしたら、相手が「I'm asking about sex.」と親切にも助け船を出してくれました。そこで、私はハタと考えた。「セックス・・・、つまり、こんなにお腹が大きくても、ちゃんと性生活が出来るのか?という質問だろうか?」と。
もうお気づきですね、相手さんは「お腹の赤ちゃんが男の子か女の子か、分かっているの?」と質問しているわけです。「what it is」というのが、boy か girl かを指しているという、すごい飛躍。こんなん瞬間的に意味把握できないって。
ちなみに、夫婦生活について質問されたと思った私が、なんと答えたかはご想像にお任せします・・・。
その他にも、分娩室のことを Delivery Suite と呼んだり、病院の産科病棟を Labour Ward と呼んだり、会陰のことを Perineum、会陰切開は episiotomy 、さらに痛み止めの種類名などなど、知らない単語が沢山出てきて、とっても勉強になりました。って妊娠でもしなけりゃ、日常的には二度と使わないような言葉ばっかりですけどね。まだベビー用品用語の中に、イマイチ意味不明なのがあったりするんですけど、そのうち分かるでしょう。ホントに英語は奥が深い。
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とはいえ、妊娠中に一度だけ落ち込んだことがありました。それは、病院主宰の「両親学級」に参加したあとのことでした。出産編と育児編に分かれていまして、出産編に関しては既に知っていることが多かったし、自分なりにお産のイメージが出来ていたので、もう少し具体的な知識を貯える程度のことでよかったのですが、落ち込みの原因になったのは育児編でした。
私も夫も赤ちゃんの世話などしたこともないので、情報としては役に立ちました。が、その一方で「そぉんなに大変なのかぁ」ということから敷延して、「私たちには周囲に誰も手伝ってくれる人(親とか兄弟とか)がいない」という事実を改めて認識し、孤独感に襲われたわけです。「わたしは根なし草~~、異国でたった一人ぼっち~~」と悲しい歌がBGMで流れてきそうな雰囲気・・・(そんな歌あるんかいな?)。根なし草も異国で孤独なのも、自分たちが好きで選んでやった結果なのにね。
私たちが参加した「両親学級」は、前にも説明したように、プライベートの病院で初めてお産をしようとするカップル向けに主宰されたものなので、参加者の年齢層は概して高く、社会的地位もそれなりに高く、経済的にも恵まれた、生っ粋のオージー夫婦がほとんどです。ですんで、もうハナからベビーシッターを雇うつもりで段取組んでるカップルも多かったりします。レクチャラーも無意識なんでしょうけど、すぐに「お母さん・お義母さん、出産経験のある友達、兄弟、家族」という協力者を登場させて、誰かに助けてもらうことを前提に説明したりします。
やはり出産経験のある家族(特にお母さん)というのは相当な戦力になるようで、「大変な時なんだから、頼めることは頼ってしまいなさい」と繰り返すわけです。特に母親(私のことだ)は精神的に追いつめられがちだから、おかしいなと思ったら、自分一人で解決しようとせず、家族に遊びにきてもらって少しの時間だけでも赤ちゃんの面倒を見てもらえ、と。で、ラースと顔を見合わせて、「私たちにはそんなことを頼める人はいない・・・。二人で乗り切るしかないんだ~」と。どんどん悲壮な気分になっていくわけです。
もちろん、いざとなったらお金払ってでもベビーシッターを依頼すればいいわけだし、市のチャイルド・ヘルス・ケアの看護婦さんが(双子の場合は)家庭訪問してくれるそうだし、協力してくれそうな友人だっていますが、家族(特に親)ほど遠慮なくホイホイ頼める存在ってのはやっぱりいないですもんね。
そこで、日本の親に「ちょっと来てくれない?」と頼んでみました。いやあ、親にとっても迷惑なハナシでしょうね。勝手に異国へ渡って異人と結婚しちゃった娘に、都合のいい時だけ使用人として招集されるんだから。ま、私たちもいずれ、この子たちに同じような報復を受けるのでしょう。それが親の宿命ってもんだ、諦めてもらいましょう(& 諦めましょう)。
本当に親が都合よく飛んできてくれるかどうかは分かりませんが、助っ人がいようがいまいが、最初の3ヶ月は思っていた以上に大変そうなハナシばかりを聞かされてきました。例の両親学級もそうですが、もうあっちこっちからホラーストーリーばかり聞かされます。
たとえば、ふつうの子供でも「授乳→おむつ替え→寝かしつけ」の1サイクルに1時間~1時間半ほどかかるそうで、それが1時間置きにやってくるとして、1日のうち12時間は子供にかかりっきりになる、と。これが双子となると、一人の子供と同じ手順で同じようにやっていたら、×2だから24時間、つまり親は寝る暇なし、というわけです。
だから、ダブル・フィーディング(二人の子供にイッキにおっぱいをあげる)をしないとやってらんないよ、と。子供二人を両脇に抱えて、一人の子供に一つのおっぱいをあてがうわけです。それで、おっぱいは二つ付いてるのかぁ(違うって)。いやあ、こんな裏業があるとは知らんかった。ちなみに、三つ子の場合は、3人めには哺乳瓶をくわえさせるそうです。絶対に一人じゃ世話しきれませんね。三つ子(あるいはそれ以上)の親御さんには申し訳ないけれど、思わず、「三つ子じゃなくてよかった」と溜め息が出てしまいます(^^;)。
そんなこんなで「大変だぁ、大変だぁ」とさんざん脅かされて、すっかり意気消沈してしまったのですが、3日ほど落ち込んだあと、ようやくフっきれました。
まだやってもいないことを想像して落ち込んでるのもアホらしいし、双子を育てている親御さんは他にも沢山いるわけです。皆に出来て、私たちに出来ないわけはないじゃないの、と。
それに、この病院のレクチャラーさんはスノビッシュなカップル向けにレクチャーしているから、かなり理想的・完璧主義なんですよね。おしゃぶりや哺乳瓶をイチイチ殺菌消毒しなくたって、生き延びている赤ちゃんは世界にゴマンといるわけだし、そこまで完璧に一人の子供に手焼いてられるほど裕福で余裕のある家庭は、世界レベルで見たら、ほんの一部でしかないはずだって。それでも地球の人口は増え続けているわけですよ。
だいたいですね、人間、渦中にいるときは、大変だとかナンだとかイチイチ感じないものなのですよね。現実が襲ってきたら、嘆いている暇もなく現実対処に必死になります。「睡眠時間がなくなるぞ」とか脅かされますけど、日本でハードに仕事している頃の私の平均睡眠時間は1日3~4時間、フルパワーで活動していたわけですし。その場になれば、出来るもんなんですよね、人間。
育児体験者が「大変だよ~」というのは、あとから懐かしい過去を振り返っての郷愁まじりの感想であり、また「こんなに大変なことをやってのけた」という自信や自負もあって出てくる言葉なんじゃないかと思ったりします。実際のところ、どんなもんなんかは、今後のお楽しみですが(^^;)。
同じことが出産そのものにも言えるわけですが、これについても思うところがいろいろあるんですけど、まだ体験していないので、体験後にいろいろ披露したいと思います。体験前/後の認識がどれだけ変わるか、あるいは変わらないかが、我ながら楽しみです。
ところで、例の「両親学級」で、こんな時間がありました。おかあさんになる人グループと、おとうさんになる人グループに分かれて、「子供が生まれてくることによる変化」についてディスカッションするというもの。模造紙を左右半分に分け、左半分が「HELLO TO~」、右半分が「GOOD BY TO~」となっています。つまり、左側には出産によって得られる新しいこと=ポジティブなことを挙げていき、右側は出産によって諦めなければならないこと=ネガティブなことを挙げていくというわけです。
前にもちょっと紹介したように、この両親学級に来ているようなカップルはかなりスノビッシュで、キャリア追及型の女性が多いんですね。だもんで、私とはあんまり意見が合わないんですけど(日本でバリバリ働いている頃の自分の価値観には近いものがありますが)、「そういう人もいるんだなあ」ってことで、いつも興味深く彼女たちの意見を聴いていたりします。
で、彼女たちが挙げていった内容は、
- 社会の刺激を受ける機会が減る(「おしめや授乳の話しか出来ないような詰まらない女になりたくないわよね!」と言い合っていた)
- 経済的に(一時的であれ)夫に頼らざるをえない(「私は夫の経済力には頼らない」とあくまで主張する人もいた)
- キャリアの妨げになる(職場復帰できても、以前と同じエリートコースに戻れるとは限らないのが不安らしい)
- 女性としてのポテンシャルを失う(男性にチヤホヤされるとか、おしゃれして出歩くとか、そういった意味でしょう)
・・・といったことで、気が付いたら全部右欄(ネガティブなこと)ばかり。
「私たち、ネガティブなことばっかり挙げてるわね」と誰かが気付き、「じゃあ、ポジティブなことを考えよう」という流れになりました。ここで、沈黙・・・に耐えかねるように、誰かが声をあげました。
「母の日!」 --シラ~という空気が一瞬流れたあと、他の女性たちが「あは、あは、そうだわ、プレゼントだってもらえるものね」と無理矢理盛り上げる。うう、苦しいムード。
「他には・・・」と司会者は促すけれど、意見が出てこないわけです。「教えること」「ようやく自分の母親のことが理解できる」といったことが、申し訳程度に挙げられましたけど、左欄(ポジティブなこと)に関しては、右欄(ネガティブなこと)に比べると明らかにしょぼくれたディスカッションに終始しました。
ちなみに、おとうさんになる人グループはどうだったか?というと、やっぱりポジティブ部分については「HELLO TO 若くてキレイなベビーシッター」とか、「ワイフ以外とのセックス」なんていう、ジョークレベルで終わってしまったみたいです。
考えてみると、子供が出来ることによるポジティブなことって、とても曖昧で精神的で言葉にならないし、そもそもやってみるまでどんなにいいかが分からないという性質があるんですよね。一言でいえば「新しい世界、未知の世界に入っていく」ということなんだろうけど、その新しい世界ってのが、ホントにイイモンなんだかどうだか、この時点では誰にも分からない。
経験者は「大変だったけど、やっぱり子供を育ててよかった」とか「子供を育てる過程における経験は、他のナニモノにも代え難い」とか「子供の笑顔は百人力」などと言ってくれますが、未経験者からすると、これらのややもすると大袈裟にも聞える、常に絶対的にポジティブであらんとするかのようなコメントを、どこまで信用していいか知れたもんではありません(^^;)。もしかしたら、自分がやってきた過去を否定するわけにはいかないから、仕方なく「イイモン」ということにしておきたいだけのことかもしれません。
なにしろ、子供は産んだが最後、NO WAY BACK ですからね。離婚、転職、退学、破産など、人生失敗したと思ったら、大抵のことはやりなおし・取り返しがつきますが、子供だけは子宮に戻すわけにも、他人に押し付けて逃げるわけにもいきません。NO WAY BACK の人生だったら、そりゃあ「イイモン」ということにしておきたいってのは、人間心理として働いて当然という気がします・・・。
この日のレクチャーが終わってから帰宅する車の中で、ラースと「なんでまた、私たちは子供なんか欲しかったんだろうねえ?」と今更ながら話してみました。
ラースもこの日のディスカッションで同じことを考えていたそうです。彼の兄弟は全部で3人いますが、全員故郷をはるか離れて生活しています。実家に戻ることも滅多にないし、あっても「義理訪問」に過ぎないことは親にも分かるわけですし、ラースなんか「もう二度と実家に足を運ぶことはないだろう」と断言しています。「自分の親のことを考えると、あんなに苦労してまで、なぜ3人も息子を育てたんだろう?って不思議になるよ」、と。親にとっちゃ、なんのメリットもないじゃあないか、と。
そう、ウチの親のことを考えたって同じです。箱入りにしておきたかった大事な一人娘だったハズなのに、いつのまにか宇宙人みたいになっちゃって、勝手に離婚して退職して、どっかに飛んでいっちゃったと思ったら、地球の裏側の人と結婚して、南半球で暮していて、滅多なことじゃ帰国どころか電話もかけてこない。折があるたびに「老後の面倒だけは見てね」と言ってはいるけど、聴いているんだかいないんだか。あの調子じゃ自分の葬式にすら帰って来ないんじゃないか? 一体なんのために手塩にかけて育ててきたんか?・・・と、疑問になるでしょう。
うーん、たしかに、そのとーりなんだよなあ。
でも、母はいまだに「子供を育てるという体験はとっても貴重だった」とかなんとか言ってるんで、きっと彼女なりに自己満足はしているんでしょう。まあ、先にも述べた「体験者のうわごと」かもしれないんで、私としてはあまりアテに出来ないぞと思っているんですが(^^;)。
とにかく、子供を育てることによる客観的に明確なメリット、ベネフィットなど、なんにもないです。世継ぎが出来るとか、老後は安心とか、そんな時代じゃないですしね。私の子供たちが大人になったら、たぶん自分たちの好きな場所を探して、親なんか放って世界のどっかに移り住むでしょう。もしかして、その頃には「世界のどっか」じゃなくて、「宇宙のどっか」に移り住んでいるかもしれない。私たちの価値観ではとても理解できないようなコトを、こともなげに成し遂げて親を唖然とさせてくれるのでしょう。それでいて、困った時だけ便利遣いしたりするんだよなあ(^^;)。←まったくワタシのことですけど。
それじゃあ、子供たちがせめて巣立つまでは、親として楽しませていただけるのか?というと、これまたそうイイモンでもなさそうです。赤ん坊の時から莫大な時間と手間と費用を奪われ続けるわけです。家には騒音と汚物があふれ、親のプライバシーもエゴも何処ぞへと吹き飛ばされるでしょう。頑張って稼げば稼いだ分だけ子供はしっかり搾り取ってくれるでしょうし、投資した分の返済どころか、恩返しですら期待できやしない。自分のこと振りかえってみたら、よーく分かりますね(^^;)。
こんなふうに、具体的な事象だけあげていくと、子育てには絶望的なくらい何のメリットもありゃしないどころか、デメリットだらけなんですね。
「いやあ、まいった。早まったことをした・・・」と後悔してもよさそうなものなのですが、これが何故か不思議と、そういう具合には思わなかった。
なんだか分からないけど、ラースと一緒に家庭をつくることが、とても自然なことに思えたんですよね。そのことによる、具体的なメリットを期待していたわけではなくて、ただ、なんとなく。でも、「これは必要なことなんだ」という確信があった。それがごくごく、当たり前のことのように思えた。なんなんだかよく分かりませんけど。
ラースもまったく同じことを言っていました。
「子供がいなきゃいないでそれでもいい、マキさんと結婚しているだけで十分幸せだ。だけど、なんだかマキさんとの間に子供がいることが自然なことのように思えた」と。
そんな具合で、「今、大きなお腹を抱えている私」というアイデンティティはなんとも自然な感じがします。日々の膨張具合に慄くことはあっても(^^;)、それがみっともないとか、不自由だとか、「妊娠なんかしなきゃよかった」とか、否定的に思ったことは一度もなかったです。
あと何週間かで、この巨大なお腹と、その中にいるコントロール不能な生命体の動きともオサラバなので、今のうちにこの感覚を十分楽しんでおこうと思っています。
2000年06月06日:福島
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