みなさん、あけましておめでとうございます。お久しぶりのダブル・トラブル・シリーズ、このお正月休暇の間に続きを書いてみました。
7月に3歳のお誕生日を迎え、週に4日保育園(キンディ)に通うようになったカレンとリサ。おかげで母はゆっくり仕事ができたのですが、さすがにこの年末年始は保育園もお休み。いやあ、にぎやかですねー。しばらくぶりに子供たちとじっくり付き合ってみると、新たな発見があったりして面白いものです。
オーストラリアではよく「Terrible Two」と言われます。「魔の2歳児」といったところでしょうか。振り返ると、たしかに2歳のときは大変だったなあ。3歳になった頃から、急に変わってきました。特に、情緒、精神面での成長度合いが大きいですね。
ダディとの遊びはエキサイティング |
2歳児が大変なのは、うまく意思が伝えられないという苛立ちも原因になっているような気がします。赤ちゃんの頃のように単純な生理的欲求ではなく、もう少し複雑なことを伝えたいのだけど言葉が上手に使えない。それがストレスになってかんしゃくを起こしたりもするのでしょう。
特にカレンとリサは双子で複数言語環境にいるため、他の子供に比べると言葉の発達が遅かった。親は気づいてなかったけど、本人たちにとっては結構ストレスだったのかもしれません。
それが、あるときを境に、急に「意味のある言葉」をしゃべりだしたような気がします。一度聞いただけの単語をその場で発音し、覚えるようになるんですね。実際には「一度聞いただけ」じゃなくて、ずっと前から何度も繰り返し聞いていたんだけど、発音することができなかった単語、なのでしょう。
その「知ってはいるんだけど使えなかった単語」の記録は、親の想像以上に、ずっと昔からたくさん溜まっているみたいです。ここしばらく、マミィは使った覚えがない単語を突然使われると、びっくりします。ずーっと前に聞いた単語、しゃべれなくても、ちゃんと覚えてはいたのですね。きっと、その当時は言いたいことが言えなくてイライラしていたのでしょう。
しゃべる言葉は、保育園の影響か、ほとんどが英語。英語の文章の合間に日本語の単語が入り混じっているような感じです。ダディが知っている日本語だけは日本語のまま。次第に、英語と日本語を使い分けるようになってきました。ウチでは「うんこ」だけど保育園では「プー」って言うみたいだ、とか、保育園では「イタイ」の代わりに「ソー」って言わないと通じないぞ、とか。
それでも、リサとカレンの間だけに通じる双子語は健在。以前と違うのは、その双子語と日本語/英語を使い分けていることです。二人だけで会話しているときは双子語なのに、ダディやマミィに話すときは、双子語では通じないことがわかってきたようで、英語/日本語を使おうとします。
リサのサイン |
オーストラリア人は特に「名前」を重視するせいでしょうか、カレンとリサも自分の名前にはこだわりがあります。
前回「ダブルトラブル」を書いた頃は、お互い区別がついていないようでしたが、その後はリサに「カレン」と、カレンに「リサ」と呼びかけると無視される時期が続きました。今では、相方の名前で呼ばれると、「リサはあっちよ」と指差して教えてくれます。
自分たちの持ち物にはすべて自分の名前を書いて欲しがるようになりました。一度書かれた名前には絶対不可侵条約にサインしたかのような威力があるようです。相方の名前が書いてある洋服やおもちゃには触ろうともしないし、名前さえ書いてあれば取り合いにもなりません。しかし、名前を書きこめるものばかりではないので、やっぱり取っ組み合いは毎日発生するんですけどね。
パソコン前に座っては、LISA KAREN とタイプしはじめたのは3歳になった頃。最近リサは自分の名前を書くようになりました。「S」は横に寝っころがっていて、「A」は反転してるんだけど(^^;)。リサ独自のサインなのでしょう。
2歳までは自我を通すことだけがお仕事だった彼女たち、最近では他人のことを思いやる余裕がでてきました。朝寝坊のマミィが寝ていれば、「しぃー!」と気を使ってくれるし、ダディが「痛い」と言えば、白衣の天使に変身。「どこ?オイル?シュッシュ?それとも、アイス?」と問診がはじまり、やさしく看病してくれます。
ものすごく気が効くし、本当にやさしくて、母はうるうるしてしまいます。「思いやりをもって」とか「やさしくしなさい」なんて教えて覚えはないんだけど。いつもダディがマミィにやさしくしているのを見ているせいかしら?
おめかしして、ハイポーズ |
マミィの偏頭痛をリサが手かざしヒーリングで治してくれたこともありました。(E-Conceptionのメルマガ第10号をご参照ください)。子供のパワーには驚かされますね。
でも、こんな「思いやり」が実行できるのは、よく眠ってご機嫌のいいときだけ、です。人間誰でもそうですよね。自分がハッピーでなければ、他人にもやさしくできないもの。自分がハッピーでいるためには、ヘルシーな睡眠は基本中の基本。いまだに夜7時から朝7時までしっかり12時間睡眠、プラス2時間のお昼寝が日課です。
二人だけでいるとケンカばっかり。なのに、第三者が加わるやいなや二人はいきなり連帯します。誰かが相方に危害を加えそうになるや、相方の権利を主張し、テリトリーを奪回すべく団結して戦います。
保育園のお友達がカレンのぬいぐるみを触ろうとしたら、リサがその子を突き飛ばしたり、他の子がリサのブランコを取ろうとしたらカレンがリサの分を死守したり。
その変貌ぶりが微笑ましい。どんなときも味方になってくれるベスト・フレンド。ちょっとうらやましいですね。
カラリング・コスメの研究のために、マミィが手作りしたリップスティック。隠しておいたはずなのに、最近なぜか机の上にころがってる。と思ったら、彼女たち、こっそり盗んで、毎朝メイクしていたのですね。鏡をながめながら、唇をスリスリ合わせています。これが終わると、「マミィ、キュート!(かわいくしろ)」と髪結いの指令がかかります。
朝のメイクアップ・タイム |
洋服選びも慎重そのもの。保育園で「ステキね!」とほめられた服にこだわる、こだわる。まだお洗濯してない服を着ようとするときは、「こっちのもキュートよ!」と大げさに褒めてあげないと納得してくれません。ついでに、パンツの好みにも優先順位がありまして、一番人気は「ハート」柄、二番人気は「ちょうちょ」柄なのでした。
保育園にもっていくバッグのなかには、お気に入りのぬいぐるみや本の他、ブレスレット、ヘアバンド、ネックレス、サングラス、おもちゃの携帯電話、はさみ、折り紙、クリスタルなんかが入ってまして、これが結構重い。保育園に到着するや、待ち受ける男の子たちが彼女たちのバッグを運んでいってくれます。おお、女王様のカンロク。
今からこんな調子で、ティーネージャーになったら、どうなっちゃうんだろう??
オンチでも大きな声で |
赤ちゃんの頃、紙をちぎるのが大好きだったのですが、3歳になってからはハサミで紙を切るのが趣味になりました。
最初は子供用のプラスティック製のはさみを与えたのですが、すぐに切れなくなり、ふつうの金属のはさみを与えざるをえなくなりました。ハサミが危険なことをよく言い聞かせたら、ハサミを持つたびに「ケアホー(Careful)」と自分自身に言い聞かせるように唱えています。幸い事故につながることはなく、熱心に折り紙を切り刻んでいます。
次にハマったのは、パズル。保育園に迎えに行くと、いつもリサがパズルに取り組んでいるので、ジグゾーパズルの20ピースを与えてみました。あっという間に制覇してしまって、今では二人して65ピースをやってます。
パズルに凝りたおし |
彼女たちのパズルのやり方を見ていると、大人の常識を超えていることがあって驚かされます。私だったら角から始めるのですが、彼女たちはどこから始めるかなんかお構いなしに、1つピースをひっつかんで、「Where is it?」と考えます。だから、ド真ん中からピースが埋まっていったり、角が一番最後になることもあるんです。
また、私だったらピースに描かれた絵柄や色をヒントにしようと考えますが、彼女たちはピースの形で判断しているようなんです。ピースをじっくり眺めることなく、手にとった瞬間にパっと見るだけ。それだけで形が記憶されるようで、その記憶をもとにどの場所に合うかを探しているようです。裏返しになったピースだけ見て、置いていくこともあるくらいです。
子供の記憶は写真を撮影するみたいに一瞬で脳に焼きつくのだと聞いたことがありますが、私たち大人の記憶方法と違うことは確か。なので、余計なアドバイスはせず、じっと見ていてあげるのが一番みたいです。
お歌を歌うのも楽しいし、ジャンプするのも楽しい。粘土やお絵かきも大好き。
そんな彼女たちと楽しく遊ぶには、なんでもお任せするのがコツ。いつも「何したい?」「どうしたい?」と聞いて、相手の意思を尊重してあげるといいみたいです。
ああ、トイレット・トレーニング。これはなかなか大変でした。「人間なんだから、いずれは自然とみんなの真似して、トイレでするようになるだろう」と思っていたのですが、これは甘かった。トイレというのは文化習慣であって、人間の本能とは関係ないようです。文化習慣的なものは教えないことには身に付かないのですね。
トイレット・トレーニングというのは、30分置きにトイレに連れていくことから始まります。出ても出なくても関係なく、とにかくトイレに座らせろ、と言われます。でもねえ、トイレという場所には馴染みがないし、狭いし、底が深くて怖いから、あんなところに行きたくないわけです。おもちゃもお菓子もないトイレ、楽しいことなんか全然ないもんね。
そこで、カラフルなトイレ補助椅子を買い、トイレに座ったらビッキー(ビスケットのこと)を1個あげることにしてみました。お買い物にいくたびに、「トイレット・ビッキー」と騒がれるのが恥ずかしいのですが(^^;)、とりあえずトイレに座ってくれるようになって、ほっと一安心。
でも、なかなかタイミングよく、トイレに座ったとたんにオシッコが出てくる、なんてこたーありません。偶然でも一回くらいオシッコが出てくれれば、「すごいね、よかったね」とめっちゃんこ褒めて喜ばせてあげる、という手も使えるのですが、滅多なことでは偶然は起きないのです。
保育園の先生からは「とにかく頻繁にトイレに連れていくように」と教えてもらったのですが、ウチは始終仕事してますから、30分置きにトイレに連れていくなんてほとんど無理。そんなわけで、一進一退が続きました。それでも、なんとかオシッコだけはクリアできるようになったのは、保育園のおかげです。
「うんこ in トイレット」が
自慢のカレン |
サングラスをして
トイレに座るリサ |
カレンは比較的早かった。彼女は他人からの評価を気にする人で、「優等生」「おりこうさん」であろうと努力する性格なので、トレーニングには積極的に取り組んでくれます。
一方、「誰がなんといおうが私がやりたくないものはやらない」という頑固モノのリサにとっては、トイレット・トレーニングなんて、大人の都合に協力する意味ない。昼間のおむつを完全にやめて、パンツだけ履くようになってから、ようやく尿意を伝えてくれるようになりました。こんなに気持ちが悪いことなら私もやりたくない、というワケです。
うんちのほうは、いまだに制覇できていません。たまーに成功すると、「I did うんこ in Toilet」と一日中自慢しています。そんなに嬉しいなら、また成功してくれたらいいのですが、まだ生理的にうまくいかないようですね。というわけで、マミィは毎日、うんこのパンツを手洗いしてます(^^;)。
ところで、ビックリしたことがあります。ある日、私の隣に座ってブドウを食べていたリサが「マミィ、カレンちゃん、うんこ(したがってるよ)」と私に教えてくれました。カレンはまったく別の部屋で一人で遊んでいたはず。そこで、「カレンちゃん、うんこ出るの?」と聞きにいくと、泣きそうな顔しています。トイレに駆け込んだカレンは、しっかり大きなうんこをしました。
そこで、あれ?と気づいた。リサはどうしてカレンちゃんのうんこが出たがっていることを知ったのでしょう? そんなことまで、テレパシーでつながってるのかな。双子の七不思議です。
保育園のおかげで、はじめて「クリスマス」という概念が刷り込まれたようです。12月後半からはずーっとクリスマス・ソングを歌ってました。「ジンガーベー、ジンガーベー、・・・ヘイ!」「メ~リ~クリスマス、メ~リ~クリスマス」
クリスマスパーティーにて |
保育園のクリスマスパーティーは公園でのアウトドアパーティー。軽トラの荷台に乗ったサンタさんが登場し、子供たちにプレゼントをくれました。
サンタさんがプレゼントをくれる、ということがよく分かっていないリサとカレンは、本当に他人からモノを受け取ってもいいものかどうか戸惑ったようです。サンタさんが差し出すプレゼントを前に、「ダディ、これ、もらってもいいの?」と聞いたもので、他の保護者たちから奇異の視線を浴びてしまいました。
オーストラリア人にとってクリスマスっていうのは本当に大切なイベントみたいです。熱心なキリスト教信者でなくても、楽しいホリデー、「ハレ」の日、ファミリーが集う日、として捉えているみたい。宗教的背景はどうあれ、貴重な国民の祝祭日になっているのですね。
クリスマスというと年末商戦の一部としか感じられない私たちは、どうしても距離を置いてしまいがちでした。でも、子供たちをキッカケにオーストラリアの文化にどっぷり漬かってみると、1年に一度くらいこんな日があってもいいのかもしれないなあって思います。街じゅうが浮かれて、プレゼントを交換しあって、誰もが幸せそうな顔してる。すべてを忘れ、のんびり過ごすクリスマス。
子供たちにもそんなオージー文化が次第に染みとおっていくのでしょうね。
カレンもリサも、立派な「のんびりオージー」になることでしょう(^^;)。
そんなわけで、今年も、No worries !
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2004年01月05日:福島
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