私、E-Conceptionの福島がウィムーンと出会い、「こんなすばらしい商品、ぜひとも日本の女性にも知ってもらいたい」と通信販売を開始したのが2000年。
その1年前に、生理用布ナプキン・ウィムーンはこの世に生まれていました。
いまや、世界じゅうの女性たちに愛用されているオーストラリア産 ウィムーン布ナプキン。
その生みの親であるスーザンにお話をうかがってみました。
私はもともとドレス・デザイナーでした。服飾や洋裁は好きなのですが、それを仕事にしてみると、なんだか物足りなくて。それで、園芸に興味を持つようになりました。
実際に自分で植物を育ててみると、私たち人間がいかにたくさんの肥料や農薬を使っているか、ということに気づかされます。自分の体の不調もあいまって、これらの人工的な化学物質が人体にも少なからず影響を及ぼしていることを直感したんです。
18年前、パートナーとともにクイーンズランド州ケアンズから奥まったところにある、マリバという田舎町に引っ越し。当時はまだ珍しかったオーガニック・ファーム(有機栽培農場)で働きながら暮らしました。
下の娘エリン(現在17歳)が生まれるとき、そのファームで出会った妊婦さんに立ち会ってもらい、はじめて「自然分娩」に挑戦しました。単にお産のときに麻酔を使わないだけではなく、妊娠中から自分の心身に向き合って生活をしてきました。この体験をきっかけに、さらに私の「ナチュラル志向」は深まります。
食生活はもちろん、身に付けるもの、生活スタイル、心のあり方。
すべて「ナチュラル」でありたいと思うようになりました。
(左画像は、はじめて発売した柄デザイン、太陽と月マーク。
今ではウィムーン・オリジナル・プリントが人気商品として定着しています。)
その頃から「リサイクルして使う生理用のナプキン」というアイデアに取り付かれていたんです。
女性の経血は植物に与えると、とても有効な肥料になることを、オーガニック・ファームの経験から知っていました。
市販のナプキンは「汚物」として処理されるけれども、経血は決して汚いものなどではなく、自己存在とつながり、地球とつながる媒介なのだ、という想いがありました。
10年前のこと、今住んでいるバイロン・ベイ近くに引っ越してきて、ウーマンズ・グループ(女性の集い)に参加するようになりました。地元の女性たちが集って、ときにはパジャマ・パーティーをしたり、一緒に外に出かけたりして、それぞれの問題をシェアしあいながら高めていく、というすばらしい仲間たちに出会いました。
その仲間の1人が偶然にも、私と似たようなアイデアを暖めていたんですね。その女性は、自然素材を使った赤ちゃん用のおむつを作って販売していました。彼女も同じ素材を使って、生
理用の布ナプキンを作れたらなあ、と考えていたそうです。
「私があなたの会社のために、布ナプキンのデザイン開発をしてあげるわよ!」と提案したところ、彼女は「いえ、布ナプキンはあなたのアイデアよ。あなたが自分で自分の製品を開発するのよ! 力は貸すわ」と、ポンと背中を押してくれたんです。
「えー!私なんかにできるのかしら?」と一抹の不安も抱えつつ、しかし布ナプキンへの興味と情熱だけは強くありました。それからは、トライ&エラーの繰り返し。試作品を作っては自分で試し、いいと思ったら周りの女性に使ってもらってフィードバックを聞いて、さらに改善。とにかく、女性たちの声に耳を傾けてきました。
実はその頃、私は子宮ガン検診で引っかかっていたのです。ところが、試作品を試しているうちに、それが消えちゃった。市販のナプキンに含まれる化学薬品などとも関係あるかもしれませんが、私にとってはメンタル(心)の問題が大きかったように思います。
自分の経血に触れ、それを自分で洗い、植物にもあげる、という日々を繰り返すうちに、私のなかの女性性がナチュラルに認められ、結果としてカラダも健康になっていったのでしょう。
納得のいく製品が出来上がるまでには2年という歳月がかかりました。これは布ナプキンという製品の開発という意味だけではなく、私にとっての「癒しの旅」だったのです。
ある日、ヒーリング・セッション最中に、シンボルが浮かんできました。メスマークの横が三日月になったもの。「あ、これが私の布ナプキン・ブランドのロゴ・マークになるのだ」ということがすぐに分かりました。
色は金色とバーガンディ(濃赤)。仏教で使われる配色です。そして、その周囲には、はじまりを意味する卵の囲い。
その後、Woman(女性)とMoon(月)を掛け合わせたネーミング、Wemoonを思いつきました。
ようやくデザインが決まり、いよいよこれを市場に出そうと思う頃、「そうだ、私にはビジネスの知識がない」と思い、ビジネスコースに通いました。経理のこと、法律のこと、コンピューターのことなど、そこで一通り学びました。
1999年、晴れてウィムーン設立。
設立初期は、すべて自分でやっていました。インターネットで注文を受けて、布を仕入れてハサミで切り、ロックミシンをかける、という毎日。
(画像はスーザンの初代ミシン。自宅の一室で縫っていました。)
4年前から製造現場をリズモアに移し、責任感の強いマネージャーに製造はすべて任せています。そのおかげで私は安心して、大きな視点からビジネスと使命を見ることができます。
ウィムーンの布ナプキンは、商品だけど、「商品以上」なんです。
このビジネスは「女性への奉仕」だと思っています。
世界中の女性たちに「自分をよく知り、女性性を受け入れ、地球とつながって心身ともに健康になるための選択肢のひとつを提供している」と考えています。
これからもこのすばらしい商品以上の商品を、より多くの女性にお届けしたいと思うんです。今は、オーストラリア、日本はじめ、ヨーロッパやアメリカでも販売されていますが、世界のより多くの国のより多くの女性にウィムーンを手にとってもらいたい。
また、使用する素材である布についても、より安全なオーガニック・コットン(有機栽培綿)を積極的に取り入れていきたいと考えています。オーストラリアでもオーガニック綿が生産されるようになってきましたので、これからが楽しみです。
日本の女性たちへのメッセージ:
勇気をもって試してみて! きっと気に入るから!
恥ずかしいことは何もないんですよ。
その恥辱感もウィムーンが癒してくれるから。
一度使ってみれば、その意味が分かるでしょう。
2006年10月
取材編集、写真撮影:福島麻紀子
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